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ポアソン分布を利用したサッカーシミュレーション


 サッカーにおける得点はポアソン分布に従うことが知られています(詳しく知りたい方はページ下部の「解説」をお読みください).ここでは1試合の平均得失点を定めると,その試合での得失点の確率分布,および勝敗確率を計算して表示するシミュレーションを行います.また,試合数を設定して,勝点の分布も計算できるようにもしてあります.ひいきのチームの得失点と勝点を見比べたり...のように,皆様のサッカーライフの一助となれば幸いです.

1試合での確率

1試合当たりの平均得点 (Goals for per match): 1.500
1試合当たりの平均失点 (Goals against per match): 1.500

1試合での得失点の確率関数

1試合での勝ち・引き分け・負けの確率

    勝点の計算

    試合数(Nunber of matches): 34

    勝点の確率関数

    解説:サッカーとポアソン分布

     サッカーは得点の少ないスポーツです.その一方,得点が決まる最小単位の時間,10秒くらいを考えればよいでしょうか,に対して試合時間は90分と非常に長いです.すると,サッカーでの得点は,「挑戦回数が多いものの成功回数が少ないできごと」と解釈できます.
     確率の分野では古くから(少なくとも100年以上前から)このようなできごとの特徴を明らかにしようという試みがなされており,今日では「ポアソン分布」として知られるようになっています.まぁ名前はどうでもよくて,「成功確率が小さいできごとに対してたくさん挑戦したときの,最終的な成功回数」が計算できればそれでよいのです.
     プロサッカーの場合,1試合1チーム当たりの平均得点は1.30(2017年J1)くらいで,試合時間の最小単位を10秒とすると,成功確率が0.0024のできごとに対して540回(=90*60/10)挑戦したときの成功回数が得点となります.成否は確率的なので,成功回数(つまり,得点)も確率的にばらつくことになります.実際の試合数の割合(2017年J1のデータ)と,ポアソン分布と仮定して算出された割合を並べると(下図),ポアソン分布が現実を非常によく説明できていることがわかります.
     平均得失点を設定すると,ばらつきを計算して図示してくれるのが1番目のグラフです(初期設定では,ちょっと多めの1.5点/試合と設定してあります).
     そして,非常に大胆ではあるのですが,得点と失点は互いに影響しない(確率の言葉で言うと「独立」)と仮定してしまいます(仮定しないと先に進めないので許してください;;).すると,平均得失点からそれぞれの得失点が起こる確率を計算できます.それらを勝ち,引き分け,負けで分類して足し合わせたものが2番目のグラフです.
     さらに,この確率のまま何試合か行ったと仮定すると,最終的な勝点と対応する確率も計算できます.これが3番目のグラフです.3番目のグラフの山の場所は平均得失点と試合数から期待できる(もっともありそうな)勝点を示しています.実際のチームの得失点および勝点と比較すると,「得失点の割には勝点を稼げている(逆に,稼げていない)」チームを見つけたりもできます.

    文責:小中英嗣(名城大学理工学部情報工学科).2019年6月.
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